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| しおや梢 | 外に出たがらない おじいさん | 400字詰原稿用紙 約11枚 |
| 著者略歴／兵庫県在住。小説をはじめ、童話、脚本等を精力的に手がける。最近は人権啓発ドラマに関わり、説教臭のない教育映画に取り組んでいる。 | 小学五年生のたかしは、ある日、自転車の停め方について同級生のめぐみから注意を受ける。なぜ、いけないのか？ やがて祖父を通じ、その意味に気づくたかしであった……。児童文学。 | 【ダウンロード】 ZIP |
| 作品冒頭 | ||
五年三組ではガキ大将《だいしょう》みたいな存在のたかし君には、心配なことがありました。 それは、大好きなおじいさんのことでした。 おじいさんは心臓が悪くなって最近、手術をし、先月、退院したばかり。 病気のほうはすっかりなおったのですが、入院生活が長かったせいか、心なしか元気をなくしているようなのです。 「お医者さんは、軽い運動はからだにいいって、おっしゃってたんだけど……」 おばあさんはそういうのですが、おじいさんは、たいてい何もいわず縁側《えんがわ》に腰かけ、一日中、庭を見つめているだけです。 ときどき、たかし君は、 「ねぇ、デパートで焼物の展示会をしてるから見に行こうよ」 などと、おじいさんをさそいます。 おじいさんは、茶わんやツボなどの焼物を集めるのが趣味で、元気なころはたかし君をつれて、よくデパートでもよおされる焼物の展示即売会に出かけていました。たかし君は、焼物を見るのは退屈《たいくつ》だったのですが、そのあと必ずおもちゃ売り場に寄って、たかし君のほしいモノを買ってくれるので、いつもそれを楽しみにしていました。 |
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