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| なみはや猫持 | 海だ挙式だニューカレドニア | 400字詰原稿用紙 約159枚 |
| 著者略歴／出版社勤務、30代。国内外問わず、旅行三昧。数年前までは台湾にハマり、最近は国内旅行一辺倒。「沖縄は老後のために取ってある」とか。 | “天国にいちばん近い島”へ行ってはみたものの現地は真冬。シャレで結婚式をあげたり、寒中水泳をしてみたり……。オフシーズンの真っ只中であれこれ考えるヘンな旅日記。 | 【ダウンロード】 ZIP |
| 作品冒頭 | ||
ふつう、旅というものには何らかの目的があるものだが、ぼくの旅にはいつもその目的というものが欠落している。しかし、目的もなく赴きこれといってすることもなくただぼんやりとスケジュールを消化して帰ってくるというものでもない。 旅の目的は、旅の途中で発生する……というのが、これまでのぼくたちのスタイルだ。 スタイルと言えば恰好が良いが、実はすべて成り行きまかせといういい加減なものなのだ。 最初の渡航先はエジプトだった。 行き先はヨメが決め、スケジュールもヨメまかせ。なんとなく成田へ行き、なんとなく飛行機に乗り、なんとなく機内食を食っていると、突然、エジプトに向かっているのだという自覚が湧いた。アラブの国、遺跡の国、ナイル河の国、回教の国、吉村作治の専売特許の国だという思いがわっと沸き立ち、早く着かないかなと色めきたってしまうのだから勝手といえば勝手なものだ。 台湾もそうだった。 エジプトほど遠くはないから、ヨメが決めたときには呆然とはしなかった。故宮博物院に入れりゃいいやくらいの軽い気持で出かけたものだ。中華料理を食い、皇帝たちの宝物を眺め、台北や万華の街をうろつき回るうちにたまらないほどの愛着を感じてしまった。 これが、目的が途中から生じる旅だ。 そして、今年はニューカレドニア。 これもヨメが決めた。苦しまぎれに決めたところがある。というのも、もともとイタリアに行くつもりだったからだ。いろいろと事情が折り合わないうちに二人の休日が近づいてきた。イタリアは来年だ、とにかく今年もどこかに行かなきゃ。という、焦りのなかで決めたようなものだ。 |
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