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| Have Fun ! |
| 仲原 源伍（仮名） | 神戸アンダーグラウンド | 400字詰原稿用紙 約48枚 |
| 著者略歴／本作品に著者は存在しません。 | 戦後の動乱期に生ゴムで財を成し、独自のアイデアで遊興業界を驀進した人物の貴重なオフレコインタビュー。プライバシー保護のため、全員仮名という、けっこうアブナイ内容です。 | 【ダウンロード】 ZIP |
| 作品冒頭 | ||
昭和二十三年だったかな。終戦から三年、世の中が落ち着きはじめた頃の話です。その年の十一月に小倉市で初競輪があり、大いに盛り上がったことを思い出します。 故郷の神戸に引き揚げてきた私は、鈴木隆一（仮名）という市会議員から、長田地区の票をまとめてくれるよう頼まれたんですわ。地区の中で影響力のある者を抱えることが、当選の鉄則です。特に、長田地区では根回しさえうまくゆけば有権者全員の票が一人に固まります。無条件で当選ですわね。 そやから、選挙ということになったら、いのいちばんに私のところに候補者が頼みに来ていました。 二十代の若造の私が、なぜ長田地区に影響力を持っていたのかというと、自警団の親玉をやっていたからなんです。前年の十二月に警察法が公布されて、国家警察と地方警察に組織が分かれたばかりでしたから、警察も今のような力を持ってはいませんでした。地域に密着し、治安を預かっていたのは自警団にほかなりません。その親玉の影響たるや、えらいもんですわ。 そんなことをやっているうちに、その市会議員が県警に収賄事件で引っ張られたんですよ。当然、県警から家宅捜査にきますわね。それを見越して、市会議員が警察で事情聴取を受けているときに、議員の書類をすべて私の家に引き上げた。それこそ、一枚たりとも残さずに。 今で言う証拠隠滅罪で私を逮捕することもできるのだけれど、その当時は何といっても自警団の親玉ですから、そう簡単に手は出せない。玄関先で警察官と世間話ですわ。茶など出したら一服も二服もしよります。ここに入ったらいかん言うたら入りませんしね。警察以上に力があったからできた芸当です。 そんなんで、証拠隠滅や書類隠蔽などの荒技のおかげで、市会議員は証拠不十分で釈放。身体を張って彼を助けたわけなんですね。 |
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