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| 人中十八・十九回生 記念誌編集委員会 |
十月二十日―われら語りべ | 400字詰原稿用紙 約921枚 |
| 著者敬白／「戦場での体験はありませんが、私たちは内地で身をもって戦争を経験しました。こんな闘いもあったということを後世に伝えたい」 | 昭和19年、学徒動員令下令。14〜16歳の少年たちは軍需工場等での勤労奉仕を強いられた。「学徒動員の碑」建立を記念して、総勢88名の手記を編纂した労作。 | 【ダウンロード】 ZIP |
| 作品冒頭 | ||
「ガサガサゴソゴソガサガサ」 あたりは朝霧が一面にたちこめていた。じっとりと湿気を含んだ工廠の建物や防空壕の破壊されたコンクリートの破片と入り混じった土片を一生懸命私は手近かにあった棒でかき上げはねあげ探し物をしていた。ここは長崎県大村の海軍航空廠である。 「アッ！ アッタ」爆撃の犠牲となった仲間の遺品を探し出し収容する。一瞬名状しがたい感慨が私の体内を駆け抜けた。 「今私たちは戦っているのだ。一生懸命、亡くなった友の冥福を祈りつつ頑張らねば」との思いであった。 昭和十九年十月、人吉《ひとよし》中学三年生の私たちは聖戦に参加の名のもとに学舎を離れ、大村の海軍航空廠へ学徒動員として宇土中学、御船中学の上級生の人たちと一緒に配置され、旬日を経ずして敵機の大空襲を工廠に受け全員防空壕に避難したが、不運にも直撃を受け工場とともに宇土、御船中学の仲間の人たちに多数の尊き犠牲者を出し遺体は粉々に飛散したのであった。私は翌日宿舎にて爆撃により犠牲となられたかたがたの遺品遺体を探し収容する仕事を命ぜられ、被災地において、まだ故郷を出発して日ならずして戦禍に捲き込まれた若き尊き犠牲者のご遺族のかたがたの悲嘆に苦しまれる心情を思い、涙をこらえながら、飛び散り散華《さんげ》した遺体遺品を探している音が「ガサガサゴソゴソ」である。 |
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