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| Have Fun ! |
| 古澤さとし | 燃えつきた鏡像 | 400字詰原稿用紙 約115枚 |
| 著者略歴／1980年、埼玉県出身。一貫して超能力モノを手がける。「やっと自信作が書けたから発表する気になった」とのこと。サイキック兄弟の続編を執筆中。 | 暴走族が虫けらのように殺害される事件が頻発。族上がりの弟が事件に首を突っ込んだことから始まる恐怖の連鎖。姿なきサイコパスの存在を突き止めた兄弟の壮絶な闘い。 | 【ダウンロード】 ZIP |
| 作品冒頭 | ||
酒よし。タバコよし。エアコンよし。 おれは指差し確認を終えてソファに深く腰を下ろしてリモコンを掴んだ。指さし確認は、リキを入れて映画を観るときの儀式だ。 サイドテーブルには、ウイスキーの水割りと、きょう買ってきたＤＶＤの映画ソフトがどっさり。この土曜夜のひとときのために、この一週間、くだらないチラシのデザインを山ほどこなしてきたのだ。すでにＤＶＤプレーヤーには新作映画がセット済み。あとは、リモコンのプレイボタンを押すだけだ。 おっと！ 電話の呼び出し音を消すのを忘れていた。 電話の側面の小さなスイッチに手を伸ばした瞬間、電話が鳴った。おれは大仰に舌打ちをして受話器を取り上げた。 『兄貴、おれだよ』 弟の慎次だった。おれより三つ下の二十五歳だ。落ちついてもいい年頃だが、切羽詰まったような口調は相変わらずだ。 『勘弁してほしいよ、まったくよお。なんでおれが警察に行かなくちゃいけないってんだよ。なあ、兄貴、勘弁してくれよ』 「ああ、勘弁してやる。じゃな」 慎次が持ち込む厄介事には免疫ができているが、警察がらみとなると別だ。兄のおれではなく、弟嫁の須美子か両親の出番だろう。 『ちょっと待ってくれよ。冷てえじゃねえかよ、たった二人の兄弟だろ。そんなやつだったのかよ』 「警察沙汰はご免だ。なぜおれがおまえの身元引受人なんだ」 『ちがうよお。ちゃんと人の話を聞けよな』 「だったら、ちゃんと人にわかるように話せ」 『ああ言えばこう言うんだから。直したほうがいいぜ、その性格。警察は警察でも、パクられたんじゃないんだ。証人として呼ばれたんだよ。おれが証人だぞ。茶は出るわ菓子は出るわ、おまけにマッポが肩まで揉んでくれるんだ。あ、これは嘘だけど』 「ほんとかよ！」 『ああ。五年前とはえらい違いよ』 「暴走族から足を洗ったかいがあったな。真面目に生きてくんだぞ。じゃあな」 『おいおい。最後まで聞けよ』 |
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